当ブログでは、ビジネスシーンで“誰でも・手軽に使える”デザインノウハウ・テクニックをお伝えしています。
みなさんは、資料等を作るときに「画像のデータが重過ぎて困った!」なんて経験、ありませんか?
今回は、そんな悩みを解決できる「画像のデータサイズを小さくする簡単な方法」を、企業の資料デザイン研修に講師として登壇することも多いデザイナーの筆者がご紹介したいと思います。プレゼン用のパワーポイント資料等の容量が大き過ぎて困っている時などに役立つ情報なので、ぜひ参考にしてみてくさい。
- 画像データの仕組み
- 画像データの容量が大きくなってしまう理由
- 画像データの容量を小さくする4つの方法
- 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
- グラフィック・WEBデザインやオウンドメディアの運営サポート・ディレクションを手掛けつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。
画像のデータサイズ重過ぎる問題
パワーポイントでプレゼン資料などを作っていると、資料内に画像を挿入するケースもよくあります。ただ、画像ってたくさん入れてしまうと、パワーポイントの容量・データサイズがすごく重くなってしまいますよね? 画像ってデータサイズがすごく大きいですから。
容量が大き過ぎると、メール等で送れなくなってしまったり、社内システムの制限に引っかかってしまってアップできなかったりと、色々と不便になることもあります。
そこで今回は、「画像のデータサイズを小さくする簡単な方法」をご紹介したいと思います。画像のデータサイズを小さくする方法はいくつかありますが、今回は筆者もよく使う4つの方法をまとめてみました。
画像データの仕組み(ざっくり)
画像のデータサイズを小さくする簡単な方法をご紹介していく前に、前提知識として「画像データの仕組み」を簡単に整理しておきます。これを知っておくことで、「なぜ画像のデータサイズが大きくなるのか」「どうすればデータサイズを小さくすることができるのか」のベースとなる部分が押さえられます。
ただ、技術的なことを詳しく知っておく必要はないので、あくまでざっくり押さえておきましょう。
画像データは“小さな点の集まり”
そもそも画像データはどのような仕組みになっているかというと、結論から先に言ってしまえば“画像データは、小さな点の集まり”です。
たとえばこのようなシンプルな風景の画像があったとして、この画像をどんどん拡大してアップにしていくと、最終的には四角形の点(ドット)が見えてきます。
この点のことを「ピクセル(px)」と言います。なんとなくこの言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。画像のデータは、このような無数の点・ピクセルが集まって形作られているわけです。
この点1つひとつに色がついていて、それぞれ明るさが違ったり、鮮やかさも違っている。これがざっくりですが、画像の仕組みです。
無数の点が集まっているから画像はデータサイズが大きい
ただ、そうなると容易に想像できると思いますが、そんな色情報を持った無数の点が集まっているということは、やはりデータの情報量がとんでもなく大きくなるわけです。
だって仮に「横300px × 縦250px」の小さめな画像(よく見かける小さめのバナー画像サイズ)だったとしても、色のついた点の数(ピクセル数)としては75,000個もあるわけですから。データが重くなるのも無理はありませんよね。
画像の情報量を小さくする「圧縮技術」
それだけ大きなデータサイズを持っていると、やはり画像自体が扱いづらくなります。そのため画像の綺麗さを損なわずに、少しでも情報量を小さくする方法として、「圧縮」という技術が昔から色々と生み出されてきました。
圧縮方法には色々と種類があるのですが(その技術自体を詳しく覚える必要はありません)、結果的にはその圧縮方法の違いによって、最終的に「JPG」のデータ形式になるのか、「PNG」のデータ形式になるのか、はたまた他の形式になるのかが決まります。
つまり、普段よく使うJPGとかPNGのデータというのは、実はすでに一回圧縮された、コンパクトな画像データということになります。「普段扱っているJPGデータですら重たいのに、元々はもっと重たかったんかい!」と思われるかもしれませんが、実際にはそうなんです笑。
ただ、そこからさらにデータサイズを小さくする方法はあるので、これからその方法として4つご紹介していきます(ここから先が、ようやく本題です汗)。
画像のデータサイズを小さくする4つの簡単な方法
「画像のデータサイズを小さくする方法」として、実際にデザイナーの筆者も普段よく行なっている方法は、以下の4つです。比較的簡単に行えるものばかりなのですが、これから1つずつ詳細を解説していきます。
- 縦横の画像サイズを小さくする
- 拡張子をjpgに変える
- Web上の画像圧縮サービス(無料)を使う
- パワーポイントを使って画像を圧縮する
方法①:画像の縦横サイズを小さくする
まず1つめの方法は「画像の縦横サイズを小さくする」です。これは最も基本的なやり方と言えます。
先にお話しした通り、画像は無数の小さな点が集まっていて、それぞれの点が色情報を持っています。そのため、点の数が多くなればなるほど、データサイズは大きくなっていくわけです。ということは、逆に点の数を少なくしてしまえば、データサイズは小さくなります。
その際に最も手っ取り早い方法が「画像の縦横サイズを小さくする」という方法です。たとえば「横1,920 × 縦1,080(フルHDサイズ)」の画像だと、ピクセル数は2,073,600もの数になりますが、それを「横1280 × 縦720(HDサイズ)」まで小さくすれば、ピクセル数は921,600まで減ります。ざっくり半分以下になるわけですね。
もちろん縦横のサイズを小さくすると、画像を後から引き伸ばしたときに解像度が足りなくなり、PC等の画面上でぼやけてしまうこともあります。その点には注意が必要ですが、もし小さめの画像でも良いのであれば、まずは「縦横サイズを小さくする」を行うと良いでしょう(プレゼン用のパワポ資料であれば、HDサイズくらいあれば十分なことも多いです)。
Windowsなら「ペイント」ツールを、Macなら「プレビュー」ツールを使えば、簡単に縦横のリサイズが可能です。具体的なやり方としては、以下を参照ください(以下はWindowsの「ペイント」の操作例です)。
①サイズ変更したい画像を「ペイント」で開く。
②[サイズ変更]ボタンをクリックすると、[サイズ変更と傾斜]のダイアログボックスが表示される。比率で縮小させるなら「パーセント」にチェックを入れ、水平・垂直に任意の数値を入力する(今回は60%に縮小)。
- 具体的な縦横のピクセル数を入力して縮小することもできます。
- その場合は「ピクセル」にチェックを入れて、水平・垂直に任意の数値を入力してください。
③画像のサイズが小さくなるので、あとは上書き保存をすれば完成。
方法②:拡張子をJPGにする
2つめの方法は「拡張子をJPGにする」です。前述の通り、普段ノンデザイナーの方々が目にする画像データは、すでに一度圧縮されているデータです。そしてそれらのほとんどは「JPG」や「PNG」などのデータ形式になっているのではないでしょうか。
ただ実のところ、それらデータ形式によってそれぞれ特性が違っていて、画像のデータサイズ・容量も変わってきます。特によく目にするのは「JPG」か「PNG」だと多いますが、データサイズ・容量がより軽くなるのは「JPG」です(※実写写真の場合)。
JPGは「非可逆圧縮方式」という圧縮方法が採用されています。詳しく覚える必要はありませんが、この方法は簡単に言ってしまえば「画質において不要な部分(=人間の目で見てもほとんどわからないような色の差の部分など)を間引いてしまい、必要な部分だけ残す」という圧縮方法なんですよね。そのためJPGはデータサイズをかなり小さくすることができるわけです(ただその分、画質の劣化に少し弱い面もあります)。
また、圧縮率(=どれくらい圧縮するのか?の度合い)を自分で選ぶこともできるので、画質を考慮しなければ、かなり大きく画像のデータサイズ・容量を削減することができます(PNGは圧縮率を選ぶことはできません)。もしパワーポイントなどに挿入しようとしている画像がPNG形式だったら、挿入する前にJPG形式に変換するのがおすすめです。
なお、画像が実写写真ではなくイラストなどの場合は、ケースによってはPNG形式の方がデータが軽くなることもあります。その時はJPGとPNGの両方を比べてみてください(画質面ではイラスト画像の場合はPNGの方が良くなります)。
具体的な拡張子の変換方法(PNGからJPGへの変換方法)としては、WindowsのPCならやはりこれも「ペイント」を使うのが便利です。以下を参照ください。
①拡張子を変更したい画像を「ペイント」で開く。
②[ファイル]→[名前をつけて保存]→[JPEG画像]を選択し、保存すれば完了。
方法③:Web上の画像圧縮サービスを使う
続いて3つめの方法は「Web上の画像圧縮サービスを使う」です。JPGやPNGの画像に対して、さらに圧縮をかけるイメージ。圧縮すると少し画質は劣化しますが、その分データ容量をグッと小さくすることができます。
この画像の圧縮は、Web上の無料サービスを使うと実は簡単にできてしまうんですよね。現在、いろいろなサービスが展開されているので、その中で任意のものを選んで使えばOK。誰でも簡単に・すぐできますし、縦横サイズを小さくする必要もないので、手っ取り早く画像のデータサイズ・容量を落としたいという時におすすめです。
ただし、すでに圧縮がかかっていてデータサイズが落ちているものは、あまり圧縮できないので、その点はご注意ください。
以下に実際の操作方法の一例を整理しておきます。
①まずGoogleなどで「画像 圧縮」で検索し、表示された圧縮サービスの中から任意のものを選択(今回は「JPGイメージをオンラインで圧縮する」を使ってみます)。
②画面中央のアップロードスペースに任意の画像をドラッグ&ドロップする。
③自動的に画像の圧縮がスタートし、完了すると圧縮された割合が表示される。あとは「ダウンロード」をクリックすれば圧縮された画像データがPCに保存される。
- この方法は、当然ですが画像を一度Web上にアップロードすることになります。そのため「データの流出が心配…」という方は、ちょっと使いづらいかもしれません。
- そのような時は、リスクの少ない画像(フリー素材の画像等)だけを圧縮するのに使うのが◎。うまく使い分けをしながら利用してみましょう。
方法④:パワーポイントを使って画像を圧縮する
4つ目の方法は「パワーポイントを使って画像データを圧縮する」というもの。仕事で画像を使うときは、やはりプレゼン資料を作っているとき等が多いと思いますが、パワーポイントの中でも画像の圧縮をすることができます。
しかもパワーポイントの中に入っている画像全てを一括で圧縮し、全画像のデータサイズ・容量を小さくすることも可能です。この方法であれば資料完成後であっても問題ないので、他者から引き継いだ資料等のデータサイズを落としたい場合などに有効な方法でしょう。
実際のパワーポイントの操作方法は以下を参照ください。
①パワーポイント内に画像を挿入する
②[図の形式タブ]→[図の圧縮]をクリック。
- 上記はWin版の操作です。
- Mac版PowerPointでは、[図の形式タブ]は[図の書式設定タブ]と表示されます。
③表示されたポップアップの中で、圧縮する範囲や圧縮のレベル感を決める(ポップアップ内の各項目の説明は以下の通り)
- この画像だけに適用する:チェックを入れると現在選択している画像のみが圧縮される(チェックを外すと、パワーポイント内全ての画像が圧縮される)
- 図のトリミング部分を削除する:画像がトリミングされている場合、チェックを入れるとトリミング部分がデータから削除される(ただし一度削除してしまうと元に戻せないので注意)
- 高品質:元の画像の品質を保持する。
- HD(330ppi):高解像度表示用の高品質な状態まで圧縮。画質の劣化が少ないが、画像データのサイズはあまり減らない。
- 印刷用(220ppi):ほとんどのプリンターと画面で優れた品質が得られる状態まで圧縮される。中程度の圧縮レベル。
- Web(150ppi):Webページやプロジェクターに最適な状態まで圧縮される。プレゼン資料でお勧めの設定。
- 電子メール用(96ppi):ドキュメントのサイズを最小限に抑えた状態まで圧縮される。画像データのサイズはかなり落ちるが、画質は最も劣化する。
③あとは右下の[OK]ボタンを押すだけで完了
以上が画像のデータサイズを小さくする4つの簡単な方法です。ぜひ試してみてください。
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今回の内容を動画で見たい方は、当ブログ筆者がYouTubeチャンネル『ビズデザ』でもブログより詳しく解説しているので、こちらも併せてご参考ください(チャンネル登録もしていただけると、中の人は飛び跳ねて喜ぶそうです)
まとめ:画像サイズを軽くして業務効率を高めよう
画像のデータサイズを小さくする4つの簡単な方法をまとめました。
画像が重いままだとデータの受け渡しがしづらくなったり、PCの動作が重くなったり、保管しておくときもPCのストレージを圧迫したりして、意外と仕事が効率的に進められなくなることも多いもの。
そのため今回の圧縮の方法を使いながら、容量を軽くして、業務効率を高められるようにしましょう。ぜひ参考にしてみてくださいね。