当ブログでは、ビジネスシーンで“誰でも・手軽に使える”デザインノウハウ・テクニックをお伝えしています。
今回は「性別によるデザインの好みの違い」についてのお話。デザインの好みはもちろん個人個人で異なりますし、異なって当たり前ですが、ただ性別によって多少好みの違いに傾向がある、とも言われています。
「性別によるデザインの好みの違い」を知っておくと、日頃の資料作成やデザインで活用できる場面も出てくるかもしれないので、今回は好みの違いをいくつかのポイントに分けて、実例を交えながら解説してみたいと思います。
- 女性が好みやすいデザインの特徴
- 男性が好みやすいデザインの特徴
- デザインにおいて性別を意識する時に大切なこと
- 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
- グラフィック・WEBデザインやオウンドメディアの運営サポート・ディレクションを手掛けつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。
性別によるデザインの好みの違いって、あるの?
筆者は日頃デザイナー兼編集者として仕事をしていて、その他に企業さんの資料デザイン研修で講師として登壇する機会も多いのですが、その際に時々研修参加者さんから「性別によってデザインの好みに違いはありますか?」という質問をいただくことがあります。
結構会社さんによっては女性向けのセミナーを実施したり、男性向けの中途採用バナーを作ったりと、性別を意識したデザインが必要になるケースがあるからでしょうね。そして実際に性別によるデザインの好みの違いはあると言われています。
そのため今回は、「女性向け・男性向けデザインの違い」について、最低限押さえておきたいポイントをまとめてみました。
このポイントをとりあえず押さえておけば、色々なデザインに応用することができると思うので、日頃資料作成などが多い方はぜひ参考にしてみてください。
女性向け・男性向けデザインの主な違い
早速これから「女性向け・男性向けデザインの主な違い(=デザインの好みの違い)」についてまとめていきます。
実際のデザインの現場では様々な事情を考慮してデザインを行いますが、ただこのブログはあくまで「ノンデザイナーである一般のビジネスパーソンの方向け」なので、あまり細かいところではなく、「とりあえずここを押さえておくと、女性向け・男性向けっぽくなるよ!」というポイントに絞ってお伝えしていきます。
なお、これから整理する「性別によるデザインの主な違い」は、あくまで傾向でしかありません。個人個人もちろん好みも違いますし、違って当たり前のことなので(多様性の時代ですしね)、あくまでざっくりの傾向ということで、ご認識ください。
主な違い①:全体の雰囲気
まず1つ目の違いは「デザイン全体の雰囲気」。これは女性・男性によって以下のような好みの違いがあると言われています。
- 女性の好み:可愛らしい、綺麗な、美しい雰囲気
- 男性の好み:力強い、格好いい雰囲気
女性は全体的に「可愛らしい感じ」、「綺麗な・美しい感じ」のデザインを好む傾向があります。一方で、男性の場合は全体的には可愛いというよりは、「カッコいい感じ」や「力強さを感じる」ようなデザインを好む傾向があると言われています。この辺りはなんとなく想像が付きやすいところかもしれません。
実際に女性のエステサロンのチラシなども、綺麗で美しい感じにデザインされていることが多いと感じませんか?
主な違い②:色の好み
2つ目の違いは「色の好みの違い」。これは女性・男性によって大まかに傾向が異なります。
- 女性の好み:暖色系
- 男性の好み:寒色系
女性が好むと言われる「暖色系」というのは、例えば赤・オレンジ・黄色・ピンクなど、どことなく暖かさを感じるような色合いのものを指します。特に女性はピンクを好む傾向は強く、「好きな色ランキング」等では他の色とは大差をつけて1位に挙げられることもありました。
男性が好むと言われる「寒色系」は、例えば青や青緑など、なんとなく涼しさを感じるような色味のものを指します。男性は少しクールな感じのものを好む、ということですね。
ただし、「青」は寒色系の色ですが、実は女性も好きな方が多いというデータもあります。好きな色ランキングでは女性でも青は上位に挙げられる色で、ピンクに次いで2位になったりすることもあります。青は性別関係なく好まれる点も、併せて覚えておくと良いでしょう。
主な違い③:コントラスト
3つ目の違いは「コントラストの好み」。コントラストというのは、簡単に言ってしまえば対比のこと。「明るい⇔暗い」、「鮮やか⇔鮮やかではない」などの“対比による差”を「コントラストが強い・弱い」と言います。これも性別によって若干好みが分かれると言われています。
- 女性の好み:コントラスト弱め
- 男性の好み:コントラスト強め
女性の場合は、どちらかというと「コントラストが弱めのもの」を好み、男性は逆に「コントラストが強めのもの」を好む、そんな傾向があると言われています。具体的な例を以下の画像で見てみましょう。左がコントラスト弱め、右がコントラスト強めの画像です。
明暗と鮮やかさをちょっといじって、コントラストの強弱をつけています。なんとなく違いが分かりますか?
コントラストが弱い画像は、明暗の差や鮮やかさの差が少なめになっていて、全体的に「淡い・ふわっとした感じ」に見えます。これが比較的女性向けのコントラスト。
コントラストが強めの画像は、逆に明暗の差や鮮やかさの差を大きくしているので、全体的に「メリハリが強く、キリッとした感じ」に見えます。こういったコントラストは比較的男性が好みやすいと言われます。
個人個人で好みはもちろん異なりますので、これもあくまで傾向でしかありませんが、この点も押さえておくとデザインに活かせるでしょう。
主な違い④:形の好み
4つ目の違いは「形の好み」。女性・男性では物の形状にも好みの違いがあると言われています。
- 女性の好み:曲線・流線形のもの
- 男性の好み:直線・角張ったもの
女性はどちらかというと、曲線や丸みのある流線形の形を好む傾向があり、これは①の「全体の雰囲気」に直結してきます。丸みのある形というのは、パッとみた時に「柔らかさ」や「可愛らしさ」を感じやすいので、女性が好む全体の雰囲気ともぴったり合うため、曲線・流線形を好みやすいと、いうことですね。
一方で男性は丸みのあるものよりも、どちらかというと直線的な形や角張った形を好みやすい傾向があります。直線や角張ったものは、パッとみた時にどことなく「力強さ」を感じやすいので、これが男性が好む全体の雰囲気「かっこよさ」とか「力強さ」に繋がってきやすくて、好まれる傾向があります。
こういった形の好みの違いから、女性向けのサイトは角丸四角のボタンが使われやすく、男性向けのサイトは角張った四角いボタンが使われることも多かったりします。
主な違い⑤:装飾の好み
最後5つ目の違いは「装飾の好み」。これはちょっと微妙なところではありますが、多少の傾向の違いが女性・男性で見受けられます。
- 女性の好み:装飾ちょっと多め
- 男性の好み:装飾少なめ
違いとしては、女性は「装飾ちょっと多め」、男性は「装飾少なめ」の方が好まれる傾向があるようです。なので、女性向けのデザインの場合は少しゴージャスな感じにしたりだとか、男性向けのデザインの場合は、シンプルな・ミニマルなデザインにしたりすることがあります。
ただこれはその時のデザイントレンドなどによってもかなり左右されることがあるので、他の4つの要素よりは性別による違いは出にくいかもしれません。参考程度に押さえておきましょう。
大切なのは「デザインの目的」
以上のように、性別によって「デザインの好みの違い」があると言われていますが、ただ最初にもお話した通り、これはあくまで傾向でしかなく、絶対というわけではありません。個人個人の好みは違いますし、違って当然。あくまで参考程度とお考えください。
また、コンセプトによって上記の傾向とは違うデザインに意図的にする場合もあります。例えば、女性が使う商品だったとしても、コンセプトとして「クールな雰囲気を訴求したい」という時は、意図的に寒色系の色味の画像を使ったり、シンプルなデザインにすることもあるわけです。
なので、「女性向けの商品だから、女性っぽくしよう!」とか、「男性向けだから、カッコよくしよう!」ということではなく、そもそも「どんな目的があって、どういう人に向けたデザインなのか?」という点をしっかり意識して、その上で上記の傾向をポイントポイントで織り交ぜていく、そんな活用の仕方がいいのではないでしょうか。
そのような意味でも、性別の違いによってデザインを整えるのは意外と難易度が高かったりします。もっと大事な「目的」が置き去りにならないように注意しましょう。
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まとめ:女性向け・男性向けでデザインを変えるのは意外と難しい。でもポイントは押さえておこう。
今回は「性別によるデザインの好みの違い」について、とりあえず押さえておきたいポイントを整理しました。
性別によるデザインの好みの違いは、細かいところまで意識するとノンデザイナーの方々にとってはちょっとデザインが難しくなるかもしれません。
ただ、知識として持っておけば、ポイントポイントで活用できる場面もきっとあるはずなので、とりあえずまずは今回お話しした点を押さえた上で、ぜひ資料作成等に活かしてみてください。