当ブログでは、ビジネスシーンで作成する資料で“誰でも・手軽に使える”レイアウトノウハウ・テクニックをお伝えしています。
その中でも、プレゼンで使うスライド資料の効果的かつ伝わりやすいおすすめの見せ方・作り方のノウハウをシリーズでお話ししています。今回はパワーポイントの「アニメーション」の見せ方について。
アニメーションはどのような場面で使うと効果的なのか、使うときはどんなアニメーションを使えば良いのか、その辺りのコツ・ポイントをまとめてみました。
日頃プレゼン資料などをパワーポイントで作成することが多い方の参考になれば幸いです。
- 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
- グラフィック・WEBデザインや自社で展開するオウンドメディアのディレクションを行いつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。
おさらい:アニメーションは原則不要
先日の記事では「アニメーションの基礎知識」をお伝えしました。以下にポイントを箇条書きでまとめてみたので、まずはおさらいとしてご覧ください。
- アニメーションは使うときはメリットとデメリットを意識した上で使う
- メリットは、①多彩な表現や強いインパクトを残せる、②流れを意識させることができる、など
- デメリットは、①聴衆の集中が妨げられ意識が散漫になりやすい、②内容の「先読み・推測」がしにくくなる、など
- デメリットが特に無視できない。そのためアニメーションは原則として使わなくてよい(と、筆者は考えます)
- アニメーションを使わなくても、伝えたいことはちゃんと伝えられる
念のためもう一度基礎知識の記事をしっかり読んでおきたいという方はこちらからどうぞ↓↓↓
場面によっては使うべき!?
前述のおさらいでも触れている通り、アニメーションは意外とデメリット面が大きい。そのため基本的にはプレゼン資料ではアニメーションを使う必要はありません。
ただ、実はパワーポイントのアニメーションも、「使うと効果的な場面」というのがあるので、今回はそれを整理していきたいと思います。
アニメーションを使うと効果的な場面としては、主に以下の2つが挙げられます(詳細は下に続きます)。
- 「流れ」を意識させたいとき
- 説明の進行上、隠しておきたいものがあるとき
使うと効果的な場面①:「流れ」を意識させたいとき
まず1つめの効果的ば場面は、「流れ」を意識させたいとき。「何かの物事の流れ・ステップ」をしっかり伝えたい時は、アニメーションを入れると効果的です。
例えば、社内に新しい業務フロー(流れ・ステップ)ができて、それをプレゼンで社内の他部署に周知しなければならない場合。今までの既存フローが定着している他部署の人たちにそれを伝えるには、新しいフローの順番や流れの中でのポイントをしっかり意識してもらう必要があります。

そんな時に、パワーポイントでフロー図を作って、そのフローをアニメーションで①から「順番に表示させていく」。
こうすると、聴衆の皆さんの意識に新フローの「流れ」がイメージとして残りやすくなります。特にアニメーションを入れると、話していないところは表示されないので、1つ1つのフローの説明をしっかり聞いてくれるようにもなります。
特にフローの場合、最初から全部スライドに要素が表示されていると、パッと全体を見てわかった気になって、話を聞かなくなってしまう人が出てくるんですよね。これではプレゼンの一番の目的が達成できなくなってしまいます。
そのため、流れをしっかり伝えなければいけない場面では、アニメーションのメリットが活きてきます。
使うと効果的な場面②:隠しておきたいものがあるとき
2つめの効果的な場面は「隠しておきたいものがあるとき」です。プレゼンの話の流れ上、「先に見えていてはマズイもの(隠しておきたいもの)」がある場合、そこにアニメーションを入れて隠しておくと良い、ということですね。
たとえば下の例のようなスライドをパワーポイントで作っていて、話の流れ上「全体設計〜」と書かれた部分が見えていたら説明がしにくいとします。

そのような時は「全体設計〜」の部分にだけアニメーションを入れておいて、その手前の説明が終わった後にアニメーションで「全体設計〜」の部分を表示してあげる。そうすれば、聴衆の人に該当箇所を先に見られずにすみます。
パワーポイントのアニメーションは「非表示→表示」という特有の動きをするので、その動きをうまく利用してあげるイメージです。
アニメーションの効果は「地味」で「目立ちにくいもの」を選ぶ
アニメーションは場面によっては使うと効果的であることは前述の通りですが、ではアニメーションの効果(動き)としては、具体的に何を使えば良いのでしょうか。
この時大切な考え方としては、なるべく「地味」で「目立ちにくい動きのもの」を使うということ。よく目立たせるためにアニメーションが使われているケースを見かけますが、これはあまり良い使い方ではありません。
なぜなら、アニメーションのデメリットの1つに「聴衆が集中を欠く」というものがあるからです(詳しくは過去記事「プレゼン資料にアニメーションは不要。パワポで使うメリット・デメリット、不要な理由を解説。」を参照)。

つまり、アニメーションの動きが悪目立ちして気が散ったり、本当に伝えたい部分に意識が向かいづらくなるわけですね。
派手なアニメーションの効果や複雑な動きは、聞き手の集中を阻害してしまいます。そのため、使うときはとにかく「地味」で「目立たない動きのもの」を使うようにするのがベター。それでも十分アニメーションとして効果はあります。
おすすめのアニメーション効果(動き)
そのような中でおすすめのアニメーション効果(動き)は、以下の2つになります。この2つはパワポデフォルトで用意されている様々なアニメーション効果の中でも比較的地味で悪目立ちしにくいものなので、もしビジネスシーンのプレゼンで使用するのであれば、この2つがベターでしょう。
- ワイプ
- フェード
おすすめ①:ワイプ
おすすめの1つ目は「ワイプ」というアニメーションです。これは特定の方向から少しゆっくり目にヒラリと出てくるアニメーション。
フロー図など流れを表現したものに使えば、その流れの方向に合わせて動きを加えられるので、流れを自然に強調することができます。しかもあまり派手な動きではないので、悪目立ちもしません。

おすすめ②:フェード
もう1つのオススメは「フェード」です。これは設定したテキストやオブジェクトがフワ~っと現れるアニメーション。非常に動きとしては地味ですが笑、「自然で気にならない(→悪目立ちしない)」ので、プレゼンのトークを邪魔することなく、パワーポイントに溶け込む・馴染みやすいアニメーションです。

使う場所としては「流れを強調したい時(フロー図など)以外の全ての場所」です。もはや“迷ったらフェードを使う”くらいの感覚でもOK。それほどフェードは万能なアニメーションです。
以上の2つがアニメーション効果としてはおすすめ。とにかくアニメーションばかりが悪目立ちするのはダメなので、しっかり動きがありつつも、周りを邪魔しないようなアニメーションを選ぶのが大切です。

まとめ:使うべき場面としては限られている
聞き手の集中が切れやすくなったり、話の先読みがしづらくなるなど、アニメーションはデメリットがしっかり存在しています。そういう意味で、アニメーションは使うべき場面はかなり限られていると考えて良いでしょう。
アニメーションがなくたって十分伝えたい内容は伝えられる。そう考えれば、アニメーションの派手な動きは必要ないですからね。今回お話した例のように、何か明確な意図があるときに限って使うといいのではないでしょうか。
使う場合も、なるべく悪目立ちしないものを選ぶのがおすすめです。