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パワポ資料で「課題解決」をデザイン・表現するには? デザイン・伝え方のポイントを現役デザイナーが端的に解説してみた。

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パワポ資料で「課題」と「その解決策」を表現する際は、①(なるべく)ビジュアルで表現する、②根拠を示す、③具体例を交える、④ポイントをはっきりと強調する、の4点が特に重要です。

提案資料・プレゼン資料などをパワーポイントで作成する際、現状の「課題」とその「解決策・手段」などをスライドで伝えるケースは多いですよね。

そんな時に「どうやって表現すればいいんだろう…?」「どうデザインするとうまく伝わるかな…?」と悩んでしまう方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、提案資料・プレゼン資料などで「課題とその解決策」をデザインする際のポイントについて、プロのデザイナー解説してみました。デザインの具体例なども交えながらまとめてみたので、営業職の方など日頃パワーポイントで提案資料を作成することが多い方の参考になれば幸いです。

/// この記事を読むとわかること ///
  1. わかりやすい・伝わるパワーポイント資料の特徴
  2. 「課題」と「解決策」をデザインするときの大事なポイント
  3. 「課題」と「解決策」を伝える具体的なデザイン例
/// この記事を書いた人:日比 海里 ///
  • 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
  • グラフィック・WEBデザインやオウンドメディアの運営サポート・ディレクションを手掛けつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

そもそもパワーポイント資料の「役割」って…何?

「課題」と「解決策」をデザインするときのポイントについてお話しする前に、前提として押さえておかなければいけないことがあります。それはパワポ資料の「役割」です。

パワポ資料はプレゼンで使われることが多いと思いますが、プレゼンでは主に「トーク」と「パワポ資料」の2つで内容を伝えることがほとんど。そのためこの2つはワンセットで用意しなければいけないプレゼンの必須要素です。

しかし、実のところそれぞれは「プレゼンにおける役割」が明確に異なります

/// プレゼンにおける「トーク」と「パワポ資料」の役割の違い ///
  1. トーク:内容を伝えるプレゼンのメイン
  2. パワーポイント資料:トークの視覚的な補佐役

パワポは視覚の補助資料

パワポは“プレゼンの主役”に思われがちですが、プレゼンはあくまで「トークで伝えるもの」。そのため主役は「トーク」です。トークが主役じゃないのであれば、面と向かって話す必要もないですし、最悪資料を配って終わりでも良くなってしまいます。

そして、そんなプレゼンのメインであるトークを「視覚的にサポートする」役割を担うのがパワポなのです。聞き手からするとトークだけ(聴くだけ)だと記憶に残りづらいし、イメージも湧きづらい。そのため、ビジュアル(見る)でもサポートしてあげる、そのためにパワポがあるというわけです。

このパワポ資料の役割を理解していないと、「課題」と「解決策」をスライドで表現する時にも効果的なデザインにすることができなくなってしまいます。まずはこのパワポ資料の役割をしっかり押さえておきましょう。

わかりやすい・伝わるパワーポイント資料の特徴

わかりやすい・伝わるパワーポイント資料には、デザインにおける共通の特徴があります。「課題」と「解決策」をスライドで表現する際も、まずはこの共通の特徴を押さえておく必要があります。

/// わかりやすい・伝わるパワーポイント資料の特徴 ///
  1. 1スライドの情報量が少ない(=トークの重要な部分だけが書かれている)
  2. ビジュアル中心でデザインされている
  3. 「重要ポイント」と「それ以外」でメリハリがはっきりしている
  4. シンプルで統一感がある
  5. 余白が多い

この中で特に重要なのが1と2です。パワポ資料をわかりやすくするためには、とにかく情報量を減らすこと文字よりもビジュアルで表現することが大切。なぜなら先にお伝えしているとおり、あくまでパワーポイントは“トークの視覚的な補佐役”だからです。

そのような意味では、本に例えるならパワポ資料は「小説」よりも「絵本」に似た性質を持っていると言えますね。とにかく“パッと見ただけで理解できる”デザインを目指しましょう。

パワポは絵本と同じ

パワポで「課題とその解決策」をわかりやすくデザインする際のポイント

ここからは実際にパワポで「課題」と「解決策」をわかりやすく見せるためのデザインのポイントをまとめていきます。

ビジネス資料においては「課題」と「解決策」を盛り込むケースが頻繁にあると思いますが、「どのようにデザインで伝えればいいのかわからない…」と迷ってしまう場合は、以下のポイントを押さえてみてください。

/// パワポで「課題とその解決策」をわかりやすくデザインする際のポイント ///
  1. ビジュアルで簡潔に表現する
  2. 因果関係をデザインではっきりさせる
  3. 解決策がもたらすメリットをデザインで強調する
  4. 課題はグレーのカラーを、解決策はメインカラーを使う

ポイント①:ビジュアルで簡潔に表現する

まず1つめのポイントはビジュアルで簡潔に表現することです。これは「課題とその解決策」をデザインするときに限った話ではありませんが、パワポ資料でわかりやすく表現するには必須の条件。

特に現状の課題というのは様々な要因などが複雑に入り組んでいることが多いため、それを言葉中心で伝えようとすると非常に聞き手にとって難解になります。

複雑なことを少しでも理解しやすくするには、視覚情報でのサポートは必須のため、なるべくスライド内の文字を減らし、代わりにビジュアル要素で簡潔に説明・表現することが重要です。

たとえば図解やアイコン等をうまく活用してあげることで、文字情報を極力減らしつつ、“パッと見”で大枠が掴めるようにデザインすると良いでしょう。

図解やアイコンを使って課題を端的に表す

図解については「図解のパターン」を、アイコンの活用については「アイコンのフリー素材サイト」なども別記事で紹介していますので、時間がある方はぜひこちらもご参照ください。

ポイント②:因果関係をデザインではっきりさせる

2つめのポイントは因果関係をデザインではっきりさせることです。

ビジネスシーンで課題を説明する際は、“そもそも、なぜそのような状況に陥っているのか(=なぜ課題が生まれてしまったのか)”など背景・原因を論理的に伝える必要があります。それがなければ、プレゼン内容に対する説得力が不足してしまうからです。

特に課題の背景・原因は様々な事象が複雑に絡み合うケースが多いので、それらを理解しやすいようにビジュアルでわかりやすく因果関係をデザインしてあげることが重要になります。

「因果関係をデザインで示す」というと少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、それほど難しく考える必要はありません。たとえば下の例のように、結果と原因をシンプルな四角い図形で表し、それを矢印で繋いであげるだけでも課題の背景となる因果関係を示すことはできます。

因果関係をデザインではっきりさせる

なるべくシンプルに、パッと見でわかるようなデザインになるように、図解をうまく使ってあげるのがポイントです。

パワーポイント・プレゼン資料でよく使う「図解のパターン」は、当ブログの別の記事「【実例多数】プレゼン資料でよく使う図解パターン9つを紹介。図解のメリット・使い分け時のポイントも解説。」でも解説しているので、こちらも併せてご参照ください。


ポイント③:解決策がもたらすメリットをデザインで強調する

3つめのポイントは解決策がもたらすメリットをデザインで強調することです。

課題解決を説明するパートは、プレゼン・提案時においては最も重要なパートと言っても過言ではありません。なぜなら、ビジネスの本質とはそもそも「誰かが、誰かの悩み(課題)を解決すること」であり、サービスの提案はそのために行うからです。

ということは、課題を解決するための方策と、それがもたらす効果・メリットがきちんと相手に伝わらなければ、プレゼン・提案の成功はあり得ないといえます。そのためにも解決策がもたらすメリット(相手が受け取る便益)をしっかりとパワポ資料でもデザインで強調し、瞬間的に理解できるような見栄えに仕上げるのが大切です。

メリットを明示する際も長文で表現するのではなく、伝えるべきことを端的にビジュアルでまとめましょう。たとえばメリットを簡単なビジュアルで3つにまとめてあげると、「マジックナンバー3」の効果によって聞き手の記憶にも残りやすくなります。

解決策がもたらすメリットをデザインで表現する

なお、マジックナンバー3については、当メディアの別記事でも解説しているので、気になる方はこちらも併せてご参照ください。

ポイント④:課題はグレーのカラーを、解決策はメインカラーを使う

色が与える印象・効果は大きく、パワポ資料においても非常に重要な要素です。前述のポイント③とも関連してきますが、解決策を示す際にもぜひ配色にも気を配りましょう。たとえば色使いとしては課題はグレーのカラーを、解決策はメインカラーを使うのがおすすめです。

グレーは比較的ネガティブな印象を受けやすい色であるため、問題や課題をビジュアルで表現する際にグレーを使ってあげると、課題感をデザインで醸成することができます。課題部分に画像を用いる場合は、画像の色味をモノトーンにするのも良いでしょう。

一方、より強調すべき解決策にはメインカラーを使いましょう。そうすることで、課題部分に使った無彩色のグレーとの対比で解決策がより強調され、プレゼンの聞き手・資料の読み手に強い印象を残すことができます。

まとめ:課題と解決策もビジュアルの工夫を

今回は提案資料・プレゼン資料などで「課題とその解決策」をデザインする際のポイントについてまとめました。

提案資料などにおいては、「課題」と「解決策」は全体の中でも肝となる部分。だからこそこの2つはよりわかりやすく・伝わりやすくデザインする必要があります。特に課題は色々な問題や背景が複雑に絡み合っていることが多いので、なるべくビジュアルで「何が問題なのか」「どうすれば解決できるのか」を直感的に理解できるようにしてあげるのがベター。

あくまで聞き手目線でビジュアルの工夫を施してあげましょう。その際は今回の記事内容をぜひ参考にしてみてくださいね。

/// パワポ資料作成研修 ///
この記事の筆者が『わかりやすい・伝わる資料作りの簡単セオリー』をお伝えしています。

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日比 海里

デザイナー・コンテンツディレクター。オウンドメディアのディレクション・編集やビジュアル・クリエイティブ制作を中心に行いつつ、デザイン・資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。 パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ1,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

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