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デザイン

全ては「余白」で決まる。ビジネス資料作成で最も気を使うべきポイントをデザイナーが解説。

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当ブログでは、ビジネスシーンで“誰でも・手軽に使える”資料デザインノウハウ・テクニックをお伝えしています。

今回は資料作成における「余白の重要性」ついて解説してみました。

なぜ余白が大事なのか、余白に対するよくある勘違い、目指すべきデザインの状態などを簡潔にまとめています。

プレゼン資料作成などを業務で行うことが多い方の参考になれば幸いです。

/// この記事を読むとわかること ///
  1. 資料デザインのわかりやすさにおいて「余白」が必要な理由
  2. 資料デザインにおいて目指すべき“状態”
/// この記事を書いた人:日比 海里 ///
  • 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
  • グラフィック・WEBデザインやオウンドメディアの運営サポート・ディレクションを手掛けつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

デザインは「余白」が全て

ポスターやチラシなどの販促物、コーポレートサイトやランディングページなどのWebサイト、社内会議用の分析資料、対外用の名刺、PowerPointを使ったプレゼン資料などなど、ビジネスシーンで作られる資料やデザイン媒体はたくさんあります。

それぞれの資料は、プロのデザイナーさんが外注で請け負ったり、ノンデザイナーである一般のビジネスパーソンが業務の一環として作ったり、時には学生さんが発表用に作ったりもしますね。

パワーポイントの配色では濃淡をうまく使いこなすと統一感が保たれる

まさに作り手も作るものも多種多様なわけですが、その中で共通的に言えること。それが「何をデザインするにしても、『余白』こそが肝(キモ)」ということなんです。これは本当に本当に本当に大事で、筆者もデザインの仕事をするときは、常に余白・マージンのことが頭の70〜80%を占めています。常にですよ、常に。

なぜそこまで余白を大切にしているのかというと、理由はシンプル。とにかく「余白がないとわかりづらい・見づらい」からです。

余白に関するよくある勘違い:余白は無い方が良い

特に余白に関してよく勘違いされがちなのが、「余白は作らないほうがいい」と思われていること。ただこれ、間違いなんです。ほんとに。

たとえばパワーポイントのプレゼン資料でも、見やすくなるように「文字や図形なども大きければ大きい方がいいんでしょ!」と考えて、スライド目一杯にいろんな要素を配置してしまうケースがあります。下の例のように。

資料に余白がないと見づらくなる

でもそのようなパワーポイントって、見てみるとすごく見づらいし、わかりづらくないですか?  基本的に余白がないと、全体がとにかくごちゃごちゃとしてきます。このごちゃつきが内容理解の大きな妨げになるわけです。

「圧迫感」と「視線の散り」が最大の敵

ごちゃつきが出てくると、次に感じるものは「圧迫感」です。この圧迫感というのが実はくせ者。先ほどのパワーポイントの例で言えば、確かに文字や図形は大きい方が見やすくなりますが、一定の大きさのラインを超えると人は「圧迫感」を感じ始めます(→狭いスペースにたくさんのものがギュウギュウに書かれていると感じる)。

資料に余白がないと圧迫感が出る

すると、今まで見やすかったものが一転して見づらくなっていきます。つまり圧迫感によって脳が「ごちゃついている!」と判断し出してしまうということです。

となると、いくら大きい文字だとしても逆に分かりにくいパワーポイント資料に変わってしまう。これはまさに余白がないことによる直接的な弊害です。

さらにまずいのが、余白がなくてごちゃついていると“見ている人の視線が散漫になる”ことも挙げられます。つまり、どこを見れば良いかわからずに視線がキョロキョロしてしまうことが多くなるわけですね。これでは本当に伝えたいことをしっかり見てもらえないかもしれません。

そのような意味で、あらゆるデザインにとって「余白」はなくてはならない存在なわけです。

目指すは「整然としている」状態

そこで大事になってくるのが「余白を意図的に作ってあげる」ということ。たとえば下の例を見てみましょう。

資料に余白を作ると見やすくなる

右の例は、左の例よりも明らかに文字のサイズは小さいですが、きちんと文字の周りに余白がキープされています。圧迫感が全くなくて、すっきり見やすいんじゃないでしょうか? 左は文字がびっしり入っていて圧迫感を感じると思います。右の方が明らかに見やすいし、内容もすんなり入ってくる。これなら脳も「ごちゃついていない」とジャッジするので、読みやすくなって記憶にも残りやすくなるわけです。

左は本当によく陥りがちな勘違いケースで、「大きい方が見やすいだろう!」ということで資料全体に目一杯文字や図形を並べてしまう。でも、実はそれは逆効果になりがちです。

見やすい資料は、“適度な大きさのものがバランスよく並んでいて、きちんと余白が保たれている”。そのような状態をデザインの世界ではよく「整然としている」と表現されますが、まさにこの整然としている状態が最も見やすい・わかりやすいデザインの状態です。

ビジネスシーンで作る資料も、この整然としている状態を常に目指したいですね。

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余白は「結果的にできるもの」じゃなくて、「意図的に作るもの」

その上では、余白に対する考え方をまず変えてみるのがいいでしょう。

余白は、何か要素(テキスト・図形・画像等)を配置していき、「最終的に残った部分が余白である」というイメージを持たれやすいですが、余白は「意図的に作るもの」と捉えるのがベターです。

最初に余白をどれだけ作るかがある程度決まって、残ったスペースにテキスト・図形などの要素が置かれる。「余白から逆算していく」くらい真逆のアプローチを意識できると、余白の使い方がグッと上手くなって、資料もよりわかりやすい・伝わりやすいものになります。

余白は資料のわかりやすさを大きく左右するわけですから、最後に結果論的に生み出されるようではいけない、ということですね。

そのほか、デザインにおいて余白が持っている「機能」については、以下の記事でも解説しています。お時間あれば併せてご覧ください。

余白を作る簡単なコツ

『余白をなるべくとりたい!』という時に、簡単にできるコツの1つとして覚えておくと良いのは、「枠線で囲い過ぎない」ということ。

情報の整理をするために「枠線で囲う」というレイアウト方法をとることも多いと思いますが、これをやり過ぎると余白がどんどんとなくなっていくんですよね。たとえば下の例のようにたくさんの情報が載っていたとします。情報量が多いので、うまく整理するためにレイアウトを工夫しなければなりません。

ビジネス,デザイン,レイアウト,資料,線,パワーポイント

そこで、枠線で囲って情報を整理・区分けしようとするわけですが、囲い過ぎちゃうとこんな感じになります。たとえばこう。

ビジネス,デザイン,レイアウト,資料,線,パワーポイント

これではすごくゴチャゴチャとしていて、みづらく感じるのではないでしょうか。資料レイアウトにおいて、「情報を区分けして整理する」のは非常に大切なこと。ただし、囲むことで区分けしようとすると資料の中に非常にたくさんの「線」が出てきます。

線がたくさん走ってしまうと資料の中に余白が少なくなり、それぞれの情報同士が接近して、ごちゃごちゃしているように見えてしまうわけです。

そんな時は枠線で囲う代わりに、シンプルな線を情報と情報の間に引くだけでOKです。たとえば先ほどと同じ例で説明するなら、こんな感じ。

ビジネス,デザイン,レイアウト,資料,線,パワーポイント

むやみやたらに囲うのではなく、代わりにシンプルに線を引いてあげるだけ。こうすることで、紙面から余分な枠線が消えて、情報同士の過度な接近が回避されます。1本線が入るだけで「情報のかたまり」を意識させることはできるので、なるべくシンプルにしてあげましょう。

YouTubeでも「余白」について解説しています

当ブログの中の人が、YouTubeチャンネル『ビズデザ』でも今回お話しした「余白」のポイントについて解説していますので、こちらも併せてご参考ください!パワポでの実例もありますよ!(チャンネル登録もしていただけると、中の人は飛び跳ねて喜びます)

まとめ:デザイン・レイアウトでは「なんとなく」はご法度

今回は資料作成における「余白の重要性」ついて解説してみました。デザイン・レイアウトをするときは、“無意識に・なんとなく”行うのはダメ。余白1つでも意図や狙いを持って行うのが大切です。

どんな資料を仕事で作ることになっても、「意図的にデザインする」ということをしっかり意識して取り組んでいきたいですね。

以前当ブログでも「配置の絶対原則」を記事でお伝えしましたが、その時もテキトーはダメよ!とお話ししていました。お時間あればこちらも併せてご覧ください(その時の記事はこちら

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日比 海里

デザイナー・コンテンツディレクター。オウンドメディアのディレクション・編集やビジュアル・クリエイティブ制作を中心に行いつつ、デザイン・資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。 パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ1,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

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