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【簡単】見やすいパワーポイントのおすすめ配色方法。色相環を使って3色を組み合わせればOK。

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当ブログでは、ビジネスシーンで作成する資料で“誰でも・手軽に使える”デザインノウハウ・テクニックをお伝えしています。

ノンデザイナーの方々がプレゼン用のパワーポイント資料を作るときに最も苦戦しがちなのが配色です。今回は、デザイナーとして資料作成研修の講師も務める筆者が、パワーポイント資料作成時の配色のポイント・気をつけるべき点・おすすめの色使いなどをわかりやすくまとめてみました。

日頃プレゼン資料などをパワーポイントで作ることが多い方の参考になれば幸いです。

/// この記事を読むとわかること ///
  1. パワーポイント資料を作る時の配色の原則・ルール
  2. 具体的な色の選び方
  3. おすすめの配色
/// この記事を書いた人:日比 海里 ///
  • 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
  • グラフィック・WEBデザインやオウンドメディアの運営サポート・ディレクションを手掛けつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

資料の配色はツッコミ出すと意外と難しい

今回はパワーポイントでの色使い・配色について。配色は実のところ非常に奥が深く、突っ込み出すととっても難しいもの。筆者もデザイナーという職業柄、多くの企業さんの資料作成代行を行なったり、ノンデザイナーの方々の資料作成相談にも応じてきましたが、一番悩みとして多かったのがこの「色使い・配色」の部分です。

実際に多くのプロデザイナーさんからも「配色は難しい」という声をよく聞きますので、ノンデザイナーの方々が悩んでしまうのも頷けるところ。そのため資料の配色に関しては、あまり考え込まず“配色のルール”に基づいて決めていく・使っていくのがおすすめです。

配色のルールさえ覚えておけば、ほとんどの資料で簡単に・見やすい・美しい資料に仕上げることができるようになります。次の項から、実際にその“配色のルール”について整理していきます。

パワーポイント資料で使う色は「Max3色まで」が絶対ルール

配色ルールにはいくつかポイントがありますが、まず絶対に押さえておかなければいけないことは、パワーポイント資料では“色数をとにかく絞る”ということ。これが配色における大前提になります。

よく「色はたくさん使った方がわかりやすいんじゃないの?」と思われがちですが、それは間違い。確かに色がついているとその部分が目立つので、人はそこに目を向かわせる傾向があります。でも、スライド内にたくさんの色が使われていたら、逆に「どこに目を向かわせればいいのか、どこが大事なポイントなのか」がわかりづらくなるんです。

たとえば下の例を見たときに、どの部分が大事なのか、瞬間的に理解できますか? きっとできないはず。しかも色が多いためにスライド全体がごちゃごちゃ・煩雑な印象も受けますよね。

色数が多いとどこが重要なのかがわからない

逆に下の例のように色数を少なくしてあげると、デザインがシンプル・洗練されて、大事なポイント(強調したいポイント)も一瞬で判断できるようになります。

色数が少ないとどこが重要なのかがわかりやすい

そのため、資料における自身の主張やプレゼンのポイントを明確にするためにも、色数をとにかく絞っていくのが大切です。

その時に基準となる色数は「Maxで3色まで」。この3色までというのは資料作成における“配色の絶対ルール”として必ず押さえておきましょう。

3色は役割に応じて使い分ける

使う色を3色に絞ることを押さえたら、次に考えるべきことはその3色の使い分け方です。3色を使い分ける際は、それぞれに“役割”を与えつつ、使用する割合を変えながら適材適所で使用していきます。その役割とは、以下の3つです(詳細は下に続きます)。

/// 3色の役割 ///
  1. ベースカラー
  2. メインカラー
  3. アクセントカラー

ベースカラー

まず1つめは「ベースカラー」です。この色の役割は、パワーポイント資料においては全体で使う“通常の文字の色”と捉えましょう。文字の色ということは、比較的使う場面は多くなります。使用比率としては、全体の約70%程度を占めるイメージで使い分けます。

メインカラー

2つめは「メインカラー」。この色の役割は、“見出しや少し強調したい箇所に使う色”と捉えましょう。そのためベースカラーよりは使用比率が下がり、資料全体の約25%程度を占めるイメージで使っていきます。

なお、このメインカラーは資料の印象・雰囲気を決定づける色にもなります。言わば“資料カラーの主役”ですね。たとえばベースカラーを黒、メインカラーを青、後述するアクセントカラーを赤にしていた場合でも、資料を見たほとんどの人は「何となく青っぽい資料だったな…」という読後感・印象が残ります。

アクセントカラー

3つめは「アクセントカラー」です。この色の役割は、パワーポイント資料では“特に強調したい箇所に使う色”と捉えましょう。イメージとしては「必殺技」的な位置付けですね笑。必殺技ということは、使う頻度・割合としてはかなり少なくなり(ウルトラマンの必殺技「スペシウム光線」も、怪獣との戦闘では使う頻度は少ないでしょ?笑)、全体の約5%程度に抑えて使い分けます。

なんとなくイメージできましたか?このように3色を使い分けしていくと、簡単に・見やすい・美しいパワーポイント資料にすることができます。

パワーポイントの配色の原則

スライドの背景の色はどうする?

なお、今お伝えした3色は、“スライド内に挿入するテキスト・オブジェクト等に使う色”です。そのためスライドの背景色はこの3色に含めなくてOK。「じゃスライドの背景色はどう考えたらいいんじゃい!」という疑問も湧いてくると思いますが笑、パワーポイント資料の背景色は原則として「白または超薄いグレー」と決めてしまいましょう。

背景というのは資料全体における面積が非常に大きくなります。そこに余計なデザイン・色が入っていると、複雑性が出てわかりにくくなっていくので、背景も極力シンプルにするのがベター。そのため「白または超薄いグレー」にするのが原則です。

詳しくは下の記事で解説していますので、気になる方は併せてこちらもチェックしてみてくださいね。

見やすい・わかりやすい3色の決め方

ここまでの内容を一旦整理すると、パワーポイント資料においては、①色数をMax3色に絞る(背景色は除いて)、②3色を役割に応じて使い分ける、というのが“配色のルール”ということでした。では続いて「その3色は何色にすれば良いのか?」という点についてまとめていきます。

特に今回は、筆者おすすめの”見やすい・わかりやすい3色の決め方”をご紹介します。次項からベースカラー・メインカラー・アクセントカラーそれぞれの選び方を個別に整理していくので、パワポ資料作成の際に参考にしてみてくださいね。

ベースカラーは「濃いグレー」にする

まずはベースカラーから。ベースカラーの選び方は実はすごく簡単で、この色は基本的に「黒か濃いグレー」がおすすめです。

理由は、前述のとおり背景色を「白または超薄いグレー」にするから。白い背景の上に文字を乗せる場合、「黒か濃いグレー」だと一番見慣れているし、白と黒のコントラストがはっきりしているので見やすく感じます。


できれば「濃いグレー」の方が筆者としてはおすすめ。真っ黒だと白い背景とのコントラストが逆に強くなり過ぎる時があります。それによって目に負担がかかりやすくなりますが、濃いグレーなら白と組み合わせた時に少しコントラストが弱まって柔らかい印象になるので、目が疲れづらくなります。

またグレーは色彩心理学的にも“上品さ、落ち着き”等を感じやすい色なので、ビジネスシーンとの相性もぴったり。そのためベースカラーは濃いグレーがおすすめです。

/// 注意点 ///
  • なお、グラフィックデザインや印刷の世界では、背景色を「ベースカラー」と呼ぶこともあります。ただし、パワーポイントデザインにおいては、上述のとおり背景色は基本的に白にすることがほとんどなので、当記事では通常の文字に使う色を「ベースカラー」としています。

メインカラーは「コーポレートカラー(ロゴカラー)」がベター

続いてメインカラーですが、ビジネスシーンで使うパワーポイント資料なら、この色は「自社のコーポレートカラー(ロゴカラー)」がベターです。パワーポイント資料には会社のロゴを配置することも多いため、少しでも資料内で使う色数を少なくし、色の統一感をキープするためにも、コーポレートカラー(ロゴカラー)をそのまま使うのが良いでしょう。

メインカラーはコーポレートカラーを使う

また先に書いたとおり、メインカラーは“資料の印象・雰囲気を決定づける色”です。そのためメインカラーに自社のコーポレートカラーを使えば、プレゼン相手に会社のイメージを印象付けることもできます。

特にコンペなどになると、提案先の企業(プレゼンの聴衆側)は複数の会社のパワーポイント資料を見ることになりますよね。その際にコーポレートカラーをメインカラーとして使っておけば、後日提案先企業が検討のために資料を見直したとき、「あ、この資料は株式会社〇〇さんの提案だったな!」と思い返しやすくなったりします(筆者の友人・知人からも同様の経験談をよく聞きます笑)。

それらの観点からも、メインカラーは「自社のコーポレートカラー(ロゴカラー)」がベターと覚えておきましょう。

※ロゴに複数の色が使われていた場合は、その中で最も面積の多い色をメインカラーにしましょう。

アクセントカラーは「メインカラーの補色(反対色)」にする

最後にアクセントカラーですが、これは先に決めたメインカラーの「補色(反対色)」を選びます。でも「補色」という言葉を聞いただけでは、それがそもそも“何者”なのか、わからないですよね笑。補色を理解するためには、先に「色相環」について知っておく必要があります。

色は光の波長の違いによって、赤・橙・黄・緑・青・紫とグラデーション上に変化していきます。 これを円状に表現したものが「色相環」です(下図参照)。

色相環

そしてこの色相環をよく見てみると、向かい合っている色がありますよね? この向かい合う色同士の関係性を“補色関係”と言います。

つまり話を戻すと、たとえばメインカラーを青に決めた場合、その青と向かい合っている(反対側にある)「赤」が補色になるので、その赤をアクセントカラーとして採用する、という決め方ですね。

アクセントカラーはパワーポイント資料では“特に強調したい箇所に使う色”ですが、補色関係にある色同士は“お互いがお互いを最も目立たせ合う”と言われています。そのためアクセントカラーにメインカラーの補色を使うと、その関係性によってより強調されて見えやすくなるわけです。

「アクセントカラーはメインカラーの補色」、そんな風に覚えておけば、変に色選びで迷うことがなくなるのでおすすめです。

ちなみに、上で色相環のお話をしましたが、実のところわざわざ色相環を使わなくても補色を調べる方法はあります笑。下のサイトを使うと、簡単に指定した色の補色(カラーコード)を調べることができるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

◆みんなの便利帳 補色を取得し色相環に描画
https://www.benricho.org/colors/complementaryColor/

3色だけではどうしても色数が足りない…という時の対処法

以上のように配色をおこなっていくと、パワーポイントの資料は非常にわかりやすく、かつ美しい見栄えに仕上げることができます。

ただ、ケースによっては「どうしてもMax3色だけでは色が足りない!」ということにも出くわすかもしれません。確かに3色だけではデザインのメリハリが出づらく、単調な印象に映ってしまうこともありますからね。

そんな時の対処法としては、選んだ基本3色(ベースカラー・メインカラー・アクセントカラー)の「濃淡の色」を使ってやりくりしましょう。

たとえば、下例の中央縦列の3色(濃いグレー、青、オレンジ)をベースカラー・メインカラー・アクセントカラーに選んだとしたら、それらの色を基準に“もっと濃い(暗い)色”や“もっと薄い(明るい)色”なら追加で使ってもOK、というようなイメージです。

3色の濃淡の色を使って表現する

あくまで配色としては「Max3色まで」というのは絶対ルールであり、それは守らなければいけないので、それ以上“違う色味(上の例でいえば、赤・緑・紫・ピンク…etc)”は使えません。

でも基本3色の濃淡の色であれば色味自体は増えていないので、使っても色の統一感が保たれ、デザインのゴチャゴチャ感も生じません。

パワーポイントの配色では濃淡をうまく使いこなすと統一感が保たれる

このように、どうしても基本3色だけでは色数が不足してしまいそうな時は、ベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの濃淡の色を使って対応するのがおすすめです。

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まとめ:色はあまり深くツッコまず、原則に沿って決める

今回は、パワーポイント資料の「配色」について、そのポイントや色の選び方、注意点などを解説しました。

色は実のところデザイン要素の中でも結構難しいもの。配色理論も数多く存在しています。そのためあれこれ考えていても、深い配色理論などを理解していないと、とてもじゃないですが100点満点の配色なんてできません。ただ、一般的なビジネス資料であればそのレベルは必要ないんですよね。

なので、今回のように“配色の原則・ルール”に沿って、パパッと使う色を決めてしまうのが、一番効果的かつ効率的。しかもその方が色選びに長い時間をかけずにすみますから、時短にもなって忙しいビジネスパーソンには嬉しい限りです。

パワーポイント資料を作成する際は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。

  • この記事を書いたライター
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日比 海里

デザイナー・コンテンツディレクター。オウンドメディアのディレクション・編集やビジュアル・クリエイティブ制作を中心に行いつつ、デザイン・資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。 パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ1,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

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